平成16年1月1日施行労働基準法の主な改正ポイント(告示、通達内容を含む)
1.有期労働契約の上限期間の制限が緩和されました。
2.就業規則、労働条件明示の書面上で、解雇事由の明示化をすることとされました。
3.解雇ルールが法制化されました。
4.専門業務型裁量労働制に関する健康配慮事項が協定化されました。
5.企画業務型裁量労働制の導入要件が緩和されました。
6.36協定の特別条項への歯止めの設定がされました。
労働基準法改正の意義
・労働者ひとりひとりが主体的に多様な働き方を選択できるような可能性を拡大すること
・働き方に応じた適正な労働条件を確保し、労働契約や労働時間などのルールを整備すること
注意ポイント
@有期労働契約の規定は有期事業および職業訓練を受ける労働者には適用されないこと
A期間の定めのない労働を有期労働者に変更することは好ましくないとされている。
B有期労働契約を行う場合は、就業規則に有期労働契約の対象労働者、契約期間、更新,雇いとめ等にかんする規定の追加または改正が必要となる。有期雇用者の就業規則を別個作成することがよい
C有期労働契約締結時に契約期間の更新の有無を明示するようにすることがもとめられる
D有期契約労働者と期間の定めのない労働者との間の処遇格差、配置等適切な人事管理が重要となる
E解雇の有効無効の判断は最終的には裁判所の判断によることは今までと同じ
F就業規則に「解雇の事由」を記載して届け出ている必要がある。
G解雇を予告する場合は退職証明書の請求にすぐに対応できるようにまた、後日に変更などないように
十分に対応できる状態にしておくこと。
H裁量労働制を導入するときは、特に労働時間の適正管理をおこなうこと。
I専門業務型裁量労働制を導入している事業場は、健康・福祉確保措置等を労使協定で定め、届出しなければならない。
対応策
注意ポイントの各項目につき、自社の対応策を考慮する必要があります。
以下に内容をより詳細に↓
1.有期労働契約の期間
(1) 有期労働契約(期間の定めのある労働契約)について、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、契約期間の上限は原則3年とされました。
ただし、有期労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限ります)を締結した労働者(下記(2)に該当する労働者は除きます。)は、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます(この措置は、政府が、改正労働基準法の施行後3年を経過した後に、その施行の状況を勘案しつつ検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるまでの間の暫定措置です)。(第137条)
(2) また、高度の専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」と言います。)を有する者や、満60歳以上の者と有期労働契約を締結する場合の契約期間の上限は5年とされました。
高度の「専門的知識等」を有する者とは、厚生労働大臣が定める基準によって、次のいずれかに該当する者としました。
・博士の学位を有する者
・公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士不動産鑑定士、技術士又は弁理士のいずれかの資格を有する者
・システムアナリスト試験又はアクチュアリー試験に合格している者
・特許法に規定する特許発明の発明者、意匠法に規定する登録意匠を創作した者又は種苗法に規定する登録品種を育成した者
・大学卒で実務経験5年以上、短大・高専卒で実務経験6年以上又は高卒で実務経験7年以上の農林水産業の技術者、鉱工業の技術者、機械・電気技術者、システムエンジニア又はデザイナーで、年収が1075万円以上の者
・システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントで、年収が1075万円以上の者 ・国等によりその有する知識等が優れたものであると認定され、上記1.から6.までに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者
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1−2 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(第14条第2項、第3項)
有期労働契約の締結時や期間の満了時におけるトラブルを防止するため、使用者が講ずるべき措置について、厚生労働大臣が基準を定めることができることとされました。厚生労働省では、これに基づき、以下の内容の「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を制定しました。また、行政官庁は、この基準に関して、使用者に対して必要な助言や指導を行うこととなります。
・使用者は、有期契約労働者に対し、契約の締結時に契約の更新の有無、契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければなりません。
・使用者は、一定期間以上継続して雇用している有期契約労働者について、雇止めをする場合には、少なくとも30日前に予告をしなければなりません。
・使用者は、労働者が雇止めの理由の明示を請求した場合には、遅滞なくこれを文書で交付しなければなりません。
・使用者は、契約の更新により一定期間以上継続して雇用している有期契約労働者と契約を更新する場合には、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。
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2 就業規則への「解雇の事由」の記載(第89条第3号)
労使当事者間において、労働契約の終了に際するトラブルを事前に防ぐため、就業規則に「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載する必要があることが、法律上明確にされました。
既に作成している就業規則に、「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載していない場合には、「解雇の事由」を記載する必要があります。
3-1解雇に関する改正(第18条の2)
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」との規定が新設されました。
これは最高裁の判決で確立しているものの、これまで労使当事者間に十分に周知されていなかった「解雇権濫用法理」が法律に明記されたことになります。
これについて衆議院及び参議院の厚生労働委員会における附帯決議において、「本法における解雇ルールは、解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を何ら変更することなく最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理を法律上明定したもの」であり、
「本法における解雇ルールの策定については、最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理とこれに基づく民事裁判実務の通例に則して作成されたものであることを踏まえ、解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を変更するものではない」ことが立法者の意思であることが明らかにされています。
なお、整理解雇する場合には、いはゆる「整理解雇4要件」
@人員削減の経営上の必要性の有無
A人員削減の手段として整理解雇を選択することを回避する努力の実行の有無、
B解雇対象の選定の合理性、公平な適用の有無
C解雇手続の妥当性(労使間の協議などを実施している)有無
が必要であるとされています
3-2解雇理由の明示(第22条第2項)
解雇をめぐるトラブルを未然に防止し、その迅速な解決を図るために、これまでの退職時証明に加えて、労働者は、解雇の予告をされた日から退職の日までの間においても、解雇の理由についての証明書を請求できることとされました。今までの使用証明の際の解雇理由の通知と時期が早まったことになります。
4.専門業務型裁量労働制に関する健康配慮事項の協定化(第38条の3)
専門業務型裁量労働制を導入する場合には、労使協定で定めるところにより使用者が次の措置を講ずることを、労使協定で定めなければならないこととされました。
・対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた労働者の健康・福祉を確保するための措置
・苦情の処理に関する措置
・協定の有効期間 (3年以内とすることが望ましいと通達)
・労働者ごとに講じた上記の措置の記録をすること
・記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること |
既に専門業務型裁量労働制を導入している事業場においては、上記事項について労使協定で定めた上で、改めて、労働基準監督署に届け出なければなりません。(経過措置の定めなし)
5.企画業務型裁量労働制の手続き要件の緩和がされました(第38条の4)
@企画業務型裁量労働制の対象事業場について、本社等に限定しないこととされました。
A労使委員会の決議について、委員の5分の4以上の多数によるものとすることとされました。
B労使委員会の労働者代表委員について、あらためて事業場の労働者の信任を得ることとする要件を廃止することとされました。
C労使委員会の設置届を廃止することとされました。
D使用者の行政官庁への定期報告事項は、対象労働者の労働時間の状況及びその労働者の健康・福祉確保措置の実施状況に限ることとされました。
EDの報告は、「決議の日から6か月以内ごとに1回」とすることとされました。
6.36協定の特別条項の特別の事情を臨時的なものに限り、回数を協定するものとされました。平成16年4月1日以降に新たに協定され、または更新される36協定から適用。→ 限度基準に適合しないものは不受理(返戻)となります。
(1) 3箇月以内の一定期間の限度時間を超え、特別延長ができる回数を36協定のなかに協定すること。
(2) 特別延長のできる回数は、1年のうち半分を超えてはならないこと。
(3) 特別の事情は、「業務の都合により」のような抽象的な理由は認めないこと。
→上記に反する協定は「限度基準に適合しないもの」として不受理(返戻)となる。
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